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裁量労働制でも残業代は請求可能|正しい計算方法と請求手順
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裁量労働制でも残業代は請求可能|正しい計算方法と請求手順

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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裁量労働制は、労働時間を労働者の裁量に任せ、あらかじめ決まった金額を労働賃金として支払う労働制度です。裁量労働制では実労働時間にかかわらず、労働時間が一定の時間にみなされます。なお、裁量労働制は、対象職種などの適用要件が厳しく定められています。

 

この記事では、勘違いされやすい裁量労働制の考え方や残業代について解説します。

 

なお、裁量労働制の詳しい制度概要は『裁量労働制とは|今話題の自由な働き方に隠れた5つの問題点と対処法』でもご紹介しています。併せてご覧ください。

 

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裁量労働制の基礎知識|2つの種類と適応職種

裁量労働制は労働時間を実労働時間ではなく一定時間とみなすことで、働き方を労働者の裁量に委ねる労働制度です。

 

労働者は会社の定める始業・終業時刻に拘束されることなく自由に働くことができます。

 

この項目では、裁量労働制の大まかな考え方についてご紹介します。なお、より詳しい内容は『裁量労働制とは|今話題の自由な働き方に隠れた5つの問題点と対処法』でも取り上げていますのでこちらもご覧ください。

 

裁量労働制には専門業務型・企画型がある

労働基準法は裁量労働制として2つの種類を許容しています。

 

繰り返しになりますが、裁量労働制は、あらかじめ労働時間を決めておき、実際の労働時間がその時間より長い場合も短い場合も労働時間は一定の労働時間とする制度です。

 

例えば、みなし労働時間を1日8時間と設定した場合、6時間働いた日も10時間働いた日もすべて労働時間は8時間として算定します。

 

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制はデザイナーや研究者など、成果を出すのに一定時間以上かかる職種が多いです。

 

専門業務裁量労働制では、労働者に裁量が任されているため、上司は以下のような具体的な指示をすることはできません。

 

  • 出勤・退勤時間を指定する
  • 業務の進め方を個別具体的に指示する
  • 業務の時間配分について個別具体的に指示する

 

企画型裁量労働制

企画型裁量労働制は、企業の中枢を担う事業場、労働者のみが利用できる制度です。

 

そのため、導入する場合はさまざまな手続きが必要になります。労働時間などの扱いは専門業務型裁量労働制と同様です。

 

適用されるのは一部の職業

裁量労働制は成果を出すのに一定以上の時間が必要な職種に適用されます。

 

厚生労働省では、専門業務型裁量労働制の適用職種として以下の業務が定められています。なお、企画業務型裁量労働制については、企業の経営陣などいわゆるホワイトカラーの方が対象になります。

 

専門業務型裁量労働制

  • 新商品、技術開発または科学研究業務
  • 情報システムの設計または分析
  • メディア記者または編集業務
  • 服飾、インテリア、広告デザイナー
  • 放送番組ディレクター、プロデューサー業務
  • コピーライター
  • システムコンサルタント
  • ゲームエンジニア
  • 証券アナリスト
  • 金融商品開発
  • 大学教授
  • 公認会計士
  • 弁護士
  • 建築士
  • 不動産鑑定士
  • 税理士
  • 中小企業診断士

 

企画業務型裁量労働制

企業の中核を担う部門で企画立案を行う労働者

 

労働時間を管理するのは労働者

裁量労働制では、労働者自身が働く時間や働き方を決めます。

 

そのため、労働者は出勤・退勤の時間を自ら決めることができますし、どのような業務をどのように進めるかも労働者の裁量に委ねられます。

 

裁量労働制の下では上司が部下に対して出退勤の時刻を指定したり、業務の進め方について個別具体的に指示することはできません。

 

裁量労働制でも残業代が支払われるケース

裁量労働制では、賃金は一定のみなし労働時間に基づいて支払われます。

 

深夜残業の場合

みなし労働時間が法定労働時間の範囲内であれば残業代は発生しませんしこれが法定労働時間を超えた部分については残業代が発生します。

 

ただし、裁量労働制は深夜労働割増賃金の支払義務を免除するものではないため、労働時間が深夜帯に及んだ場合、別途深夜労働の割増賃金を支払う必要があります

 

おすすめ記事: 深夜残業の定義と割増賃金|5つの誤解と深夜残業への対処法

 

そもそも裁量労働制の条件を満たしていない場合

そもそも裁量労働制の導入条件を満たしていない場合やその労働者への裁量労働制の適用が許されない場合には、みなし労働時間ではなく実労働時間に応じた残業代を請求できるケースがあります。

 

裁量労働制は法律の定める厳格な要件の下で導入が可能となる制度です。そのため、労使間の合意や就業規則があるからといって必ずしも同制度を導入・適用できるわけではありません。

 

法律の定める厳格な要件や手続きを行っていないケースでは、そもそも裁量労働制が利用できないため、労働者の労働時間を一定時間とみなすことはできません。

 

おすすめ記事: 残業代請求によって未払い残業代を獲得する全手順と注意点

 

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裁量労働制の残業代はいくら?計算方法を詳しく解説

この項目では裁量労働制での残業代計算方法をご紹介します。

 

基本的な残業代の計算式

時間外労働の時間数(時間)×1時間あたりの基礎賃金(円)×1.25(※)
※時間外労働が60時間/月を超えた場合、超える部分については、1.5倍

 

1時間あたりの基礎賃金を算出

1時間あたりの賃金は、下記の計算式で求められます。

 

1時間あたりの基礎賃金=【月給】÷【1ヶ月あたりの平均所定労働時間】

 

1ヶ月あたりの平均所定労働時間は、下記の式で算出可能です。

 

1ヶ月あたりの平均所定労働時間=(365日(うるう年の場合は366日)-1年間の休日数)×1日の所定労働時間数÷12

 

もし1日のみなし労働時間が8時間を超えていたら超えた時間が残業時間となります。

 

例えば、1日の所定労働時間が8時間、みなし労働時間が9時間だった場合は、1時間分が残業時間となります。

 

計算式

【1ヶ月の基礎賃金】÷【1ヶ月あたりの平均所定労働時間】

 

月給:35万円

1日の所定労働時間:8時間

1年間の勤務日数:250日

1年あたりの所定労働時間 = 8時間×250日=2,000時間

1ヶ月あたりの平均所定労働時間=2,000時間÷12ヶ月≒166時間

 

1時間あたりの基礎賃金=35万円÷166時間≒2,100円

 

割増率の算定表

表:働き方で違う割増率

 労働時間

時間

割増率

時間外労働(法内残業)
※就業規則上の所定労働時間は超えているが法定労働時間は超えない

 1日8時間、週40時間以内

1倍(割増なし)

時間外労働(法外残業)
※法定労働時間を超える残業

 1日8時間、週40時間超

 1.25倍

 1ヶ月に60時間超

 月60時間を超える時間外労働

 1.5倍

 法定休日労働

 法定休日の労働時間

 1.35倍

深夜労働

22:00~5:00の労働時間

0.25倍

時間外労働(限度時間内) +深夜残業

時間外労働+深夜労働の時間

1.5倍

 法定休日労働 + 深夜労働

休日労働+深夜労働の時間

1.6倍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、法定労働時間を超えた『時間外労働』には原則的な限度時間が定められており、『1か月45時間、1年360時間を超えないもの』とする必要があります。

 

時間外労働割増賃金のケース

裁量労働制でも、みなし労働時間が法定労働時間を超えるような場合は、超過した分の残業代の請求が可能です。

 

賃金基礎額(1時間当たり)×1.25×(みなし労働時間-8時間)

 

深夜労働割増賃金のケース

裁量労働制では深夜労働の時間外手当は免除されないため、深夜になった労働については支払われている賃金に加えて請求することができます。

 

賃金基礎額(1時間当たり)×0.25×深夜労働時間

 

あなたにいくらの残業代が発生しているか簡単に計算できます

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裁量労働制の残業代請求における裁判事例

裁量労働制の運用が適切な場合、残業代請求をすることは難しいことが多いです。

 

一方、裁量労働制の運用自体が不適切な場合、未払い残業代の請求が認められるケースもあります。

 

判例

京都の色彩工房で働いていた従業員4名が、未払いの残業代があるとして会社側に請求。

裁判所は事業所の裁量労働制の運用は不適切であるとして、従業員4名は裁量労働制の対象者にはならないと判断。会社側から従業員4名に対し、請求額の一部である合計約2,610万円の未払い残業代の支払いを命じた

参考:文献番号 2017WLJPCA04276014

 

 

未払い残業代があった場合の請求法

この項目では、未払いの残業代があった場合の請求方法についてご紹介します。

 

残業代の請求書を会社に送付

未払いの残業代が計算できたら、請求書を作成し会社に送付します。

 

 

労働基準監督署に相談

会社に請求書を送っても反応がない場合は、労働基準監督署に行き、社内での解決が難しい旨を伝え相談する方法があります。

 

労働基準監督署では、必要に応じて会社と労働者の話し合いの場を設けるなど解決のための助言、あっせんなどの手段を講じてくれます。

 

労働審判を申し立てる

労働基準監督署に相談しても解決が難しい場合は、労働審判を申し立てる方法もあります。

 

労働審判は、地方裁判所で手続きする紛争解決制度で、労働問題を専門とする審判官と審判員計3名が労使間のトラブルについて審理します。

 

おすすめ記事:労働審判を考えている人が知っておくべき全てのこと

 

弁護士に相談して裁判を起こす

労働審判での判断に納得が行かない場合は、裁判を起こすという方法もあります。

 

裁判を起こす際は、証拠が重要になるため『残業代請求の証拠になるもの』でご紹介している労働時間の証拠を集めておきましょう。

 

 

 

まとめ

裁量労働制は、働き方改革によって対象者を拡大する法案があり、今注目が高まっている労働制度の1つです。

 

ただし、対象者の選定にはさまざまな条件があるので、ご自身が裁量労働制に当てはまるかどうか一度確認してみるのもよいでしょう。

 

この記事で、裁量労働制の残業代請求に関する疑問が解消されれば幸いです。

 

 

出典元一覧

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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