パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
塾講師は、生徒へ勉強を教える授業がメインの仕事ですが、小学校教師や高校教師、塾講師といった教育業界に身を置く方々は、テストの採点や生徒からの質疑応答、授業計画を作るなど、授業以外の労働も多く、長時間労働や隠れ残業が発生しがちといえます。
また、休日出勤時の手当がつかないなど、どこまでが『定められた労働時間』なのかわからず、サービス残業が起こりがちな業界といわれています。
過酷な労働環境かどうかは勤務先の学習塾によりますが、「講師が自主的に行っているから残業代はつかない」と説明される方も多いようです。
塾講師の仕事って残業代は払われるのでしょうか。
転職にあたって、色々な業種の仕事を見ていて塾講師の仕事が目につきました。
給料も悪くなく、あんまりペコペコしなくていいのかなというイメージです。
しかし、いざインターネットで調べてみると結構拘束時間が長くて、授業時間以外は給料が発生しないという話をよく見ました。
これって本当でしょうか。
引用元:https://www.tensyoku-station.jp/66581/
塾で残業代が払われるということは聞いたことがありません。しかし、最近教室長の社員の方が、残業代未払いに対して裁判を起こして、見事勝訴になったという話を聞きました。
教室長は管理職扱いとされ、その塾では残業代が一切払われないということでした。
それに対して訴えを起こし、500万円支払いを得たそうです。確かに現状、塾講師で残業代を得るのは難しいかもしれません。
しかし、最悪弁護士に頼る方法で残業代を勝ち取るということは全然あり得る話ではないかと思います。
引用元:https://www.tensyoku-station.jp/66581/
そこで、
塾講師の方が残業代請求をする際に参考になる3つの知識をご紹介します。
あらかじめ就業規則などで決められた「所定労働時間」を1分でも超えて働いた場合は、基本的には残業代が発生します。ただ、学習塾には「コマ給」など特有の雇用契約もありますので、まずは未払い残業の実態について簡単にご紹介します。
塾講師に残業代が支払われない理由として「管理監督者だから残業代は発生しない」と説明がされることもあるようです(あまり多くないかもしれませんが)。
確かに労働基準法第41条2号には『事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者』は労働時間、休憩及び休日に関する規定について適用しないと書かれています。つまり、深夜手当以外の残業代や休日手当、割増賃金は支払わなくてもいいのです。
しかし、管理監督者であるかどうかは、「管理職かどうか」などの形式的な基準で決定するものではなく、諸般の事情を総合的に考慮して実質的に決定されるものです。具体的には下記のような基準に照らして判断されるのが一般的です。
① 当該者の地位、職務内容、責任と権限からみて、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあること。
② 勤務態様、特に自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること。
③ 一般の従業員に比してその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていること。
そのため、仮に「管理職」として取り扱われていても、上記の実質的基準に照らして管理監督者には該当しないということは往々にしてあります。このような地位にある労働者を一般的には「名ばかり管理職」といいます。
この「名ばかり管理職」の残業代請求に関しては、過去に裁判で争われ、500万円の未払い賃金が支払われたことがあります。
被告の経営する受験予備校に勤務していた校長及び校長代理である原告ら2人が、時間外手当等の支払を求めたところ、被告が、原告らは労働基準法41条2号の管理監督者に当たるなどとして、その支払義務につき争った事案において、認定事実によれば、原告らは、労働条件の決定その他労務管理につき、雇用主と一体的な立場にあるものとはいえず、労働基準法41条2号にいう管理監督者に該当するとは認められないなどとして、請求を全部認容した事例 |
主文要約 原告1に対して、252万6,203円を支払え。 原告2に対して、240万3,590円を支払え。 |
裁判年月日 平成21年 7月23日 裁判所名 横浜地裁 裁判区分 判決 事件番号 平19(ワ)2691号 事件名 賃金支払請求事件 裁判結果 認容 上訴等 控訴 Westlaw Japan文献番号 2009WLJPCA07236002 |
主にアルバイト講師などに適用されている給与の支払い方ですね。人件費高騰から、多くの学習塾では「何時間働いたか」という時給ではなく、「コマ給」という授業をいくつ行ったかの成果報酬で給与を発生させています。
1コマあたりの時給換算は1,800円〜2,000円が相場とされていますので、授業時間のみで考えたら割と良い給与かもしれません。ただ、授業の準備や授業報告などの時間外労働が多くなると、時給換算した場合は「最低時給」になるケースも多いといいます。
元々の「雇用契約」でコマ給となっているのであれば、通常授業以外の労働時間は残業代の対象や未払い賃金には含まれませんが、『授業以外に費やした準備の時間や報告のための時間が、使用者(この場合は塾)の指揮命令下におかれたと客観的に評価することができる場合』は、未払い残業代として請求できる可能性は高いでしょう。
使用者の指揮命令下に置かれた時間の例 |
使用者の指示により実施する授業前の準備時間、使用者の指示により実施する授業後の報告書等の作成時間、生徒からの質問対応時間、テキスト作成時間、研修等を行う時間、休憩時間に、生徒からの質問に対応する時間、休憩時間とされていても実際には使用者の指示により質問対応のために待機している時間、等 |
参考:厚生労働省|学習塾における講師等の労働条件の確保・改善のポイント
神奈川県労働局で公表されている代表的な指導例を紹介しますので、参考にしてください。
自己申告により労働時間を把握することとしていたが、授業以外に、授業後の報告書の作成を行わせていた。ミーティングに参加させていた時間が実績として記録することとされていなかったなど、入退館記録と実績記録の時間に相違があり、賃金及び法定労働時間である1日8時間を超える時間外労働に対する時間外割増賃金を支払っていなかったもの。
→労働基準監督署の対応
労働時間の適正把握について指導、労働基準法第 37 条(割増賃金)違反に対して是正勧告、労働基準法第 15 条(労働条件明示)違反に対して是正勧告
アルバイト講師について、授業前の 10 分及び授業時間の 80 分の合計 90 分を「1コマ」とし、「1コマ」単位で賃金計算を行い賃金を支払うこととしているが、生徒の欠席により授業が中止となった場合には、代わりに事務作業を行わせ、「1コマ」1,200 円(時間給に換算して 800 円)を支給していたが、当該支払額は県の地域別最低賃金額を下回っていたもの。
また、授業や事務作業が時間外労働となった場合であっても、「1コマ」単位で計算した通常の労働時間部分の賃金のみ支払い、時間外割増賃金を支払っていなかったもの。
→労働基準監督署の対応
最低賃金法第4条(最低賃金)違反に対して是正勧告、※2:労働基準法第 37 条(割増賃金)違反に対して是正勧告
アルバイト講師について、時間外・休日労働協定の締結・届出なく、夏休み等の期間においては、「1コマ」90 分の授業を、1日に最多で「7コマ」(合計 10 時間 30 分)行わせるなど、1日の法定労働時間(8時間)を超える時間外労働を行わせていたもの。
→労働基準監督署の対応
労働基準法第 32条(労働時間)違反に対して是正勧告
参考:厚生労働省|学習塾における講師等の労働条件の確保・改善のポイント
残業代は「残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率」で算出することができますが、「残業時間(時間外労働)」にあたる、塾講師の労働時間とは何なのかを確認しておきましょう。
図:基本的な労働時間と時間外労働の例
労働時間かどうかは明確な基準があるものではなく、使用者の指揮命令下で労務を提供する時間がこれに該当します。
そして、使用者の指揮命令下にあるかどうかは、労働者に対する具体的指示命令の有無、時間的・場所的拘束性の有無など諸般の事情を総合考慮して決定されることになります。
例えば、塾講師であればレッスンの時間帯が労働時間に該当することは明らかです。また、レッスン外の時間であっても、以下のような作業はこれを塾のオフィス内で行っていれば、レッスンに付随する業務としてやはり労働時間に該当するのが通常と思われます。
問題は、これを塾のオフィス外で行った場合です。
そのような場合は、使用者による具体的な指示命令や時間的・場所的拘束性が希薄となり、場合によっては労働時間に該当しないという判断もあり得ます。
結局はケースバイケースの判断となりますので、自分の業務が労働時間に該当するかどうか疑問に思う場合は、専門家に相談することも検討してみましょう。
生徒の要望や、人手不足等による理由で土曜などに塾を開講することになり、塾から出勤を命じられた場合は、対応に要する時間は労働時間であり、「割増賃金」や就業規則上の「休日手当」などが発生します。
法定休日労働とは |
労働基準法第35条で定められた『毎週少なくとも1回の休日または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない』に、該当する休日に労働すること。法定休日という。 |
注意すべき点は、休日出勤した日が「法定休日」なのか「所定休日」なのかです。例えば塾が「就業規則」で「土曜日は休日です」と定めていても、これは「所定休日」について定めたもので、必ずしも労働基準法で規定された「法定休日」というわけではありません。
この場合、所定休日の労働は「法定休日労働」ではなく「時間外労働」になります。法律上は「法定休日がいつか?」を特定する必要がないため、週1回の休日のうち、任意の日を法定休日とするという取り扱いも可能ですが、残業代の計算に必要な割増率が変わってきます。
法定休日に行った労働:法定休日労働として1.35倍の割増率
所定休日に行った労働:時間外労働となり、週40時間を超えれば1.25倍の割増率
室長クラスの正社員なのか、アルバイトなのかで少々変わってくると思いますので、2つのパターンに分けて解説します。
例えば「月給40万円」をもらっており、所定労働時間は1日8時間週40時間、法定休日が日曜だった場合で考えてみましょう。残業代の計算式は「残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率」です(なお、年間の所定労働日数は280日と仮定します)。
以下のような働き方をしたものと仮定します。
月曜日:10時間(時間外労働2時間)
火曜日:09時間(時間外労働1時間)
水曜日:08時間(残業なし)
木曜日:10時間(時間外労働2時間)
金曜日:11時間(時間外労働3時間)
土曜日:06時間(残業なし)
このうち時間外労働となるのは、1日8時間を超えた時間と週40時間を超えた時間です。
そのため、上記事例の下では月~金曜の8時間を超える部分と、土曜の勤務の合計14時間が時間外労働となり、割増賃金の支払を受けられます。このときの割増率は法定労働時間外となるので1.25倍です。
したがって1週間の残業代は【2,150円×14時間×1.25=37,625円】となります。
仮に月間を通して同じような働き方をしたものとして計算すると、【37,625円×4週=150,500円】
もし毎月これだけの残業が発生していれば、1年間で約180万円。残業代は過去3年間まで遡って請求できますので、もし未払いだった場合は360万円程度の残業代を、請求できるということになります。
タウンワークの調べによると、アルバイト講師の平均時給は東京都で1,323円、石川県では900円と開きがありますが、ここでは仮に時給を1,200円・1コマを90分、コマあたりの単価を1,800円として考えていきましょう。
1日当たりの平均コマ数で賃金が計算されているというケースでは、例えば1日の授業を3コマとすると1日5,400円の給与の支払いを受けていることになります。
しかし実際の塾講師は、授業をおこなっているだけではありません。授業以外に準備と報告で3時間分の労働が追加されていたなら、1日の労働時間は【3コマ(4.5時間)+3時間=7.5時間】となります。
にもかかわらず5,400円の賃金支払しかないならば、賃金は時給換算で720円となりますから、都道府県ごとに定められた最低時給すら下回ってしまうことでしょう。このように最低賃金法違反の場合は、最低賃金に引き直して追加で賃金支払を求めることが可能です。
『学習塾の講師等に係る監督指導例』でもご紹介した事例ですね。
コマ給以外に発生した労働時間をどう金額に換算するのか、是正勧告は出ているものの、判例として適当なものはありませんでしたので、詳細を知りたい場合は、個別の労働問題が得意な弁護士に相談してみるのがよいかもしれません。
大手学習塾が、講師への賃金の支払いをめぐり労働基準監督署の是正勧告を受ける事案が相次いでいる。アルバイトの大学生が行う授業の準備や採点などの時間に対して賃金を支払っていなかったためだ。ある個別指導塾でアルバイト講師として働く大学1年生の例では、授業1コマ(80分)あたり1500円を賃金として支払っていたが、あくまで支払いは「授業のコマ分」のみだった。これを受けて労基署が授業の前後や会議の時間の6カ月分の未払い賃金として、計約22万円を支払うよう勧告した。
別の大学生も大手学習塾でアルバイトをしていたが、ミーティングや準備のため、授業開始の20分前には出勤しなければならず、退勤は授業終了から1時間後になることもあった。授業の前は資料作成やコピーなどの準備があり、授業の後は後片付けや報告書の記入など雑務に追われていたという。冬期講習がある冬休みは直前にシフトを決められてしまい、自分の都合で休めず自身の試験勉強もできなかったというから本末転倒である。
実際に残業代を請求するためには、まず請求する際の「証拠」を集めましょう。
実際の勤務時間がわかるものをしっかり用意しましょう。また、雇用契約書や就業規則には残業代の支払いに関する規定があるのが通常です。人事部や担当者・本部にお願いすれば、提示をしてくれるはずです。
その後、残業代の請求方法は下記のような手順で進みます。
参考:未払い残業代を自分で請求/獲得する為の証拠と手順を徹底解説
未払いの残業代についての請求方法などをお伝えしてきましたが、話し合いで解決できず、何かと理由をつけて反論してくる場合には、弁護士に相談してみてください。未払い残業代には請求できる期限もありますので、早めの対応をしておくのが安心です。
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確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。