パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
仕事量が多く定時に帰れなかったり、なんとなく上司が残っているから帰りづらかったりするなど、社風として残業するのが当たり前になってしまっていることがあるかもしれません。
働いた分の残業代がしっかりと支払われているのであれば問題ないかもしれませんが、会社によってはサービス残業の強要など、残業代を支払うことなく働かせようとしてくる会社も存在します。
会社から「残業代は出ない」と説明されたとしても、残業代は原則として支払う必要があるため、支払われていないのであれば違法の可能性が高くなります。
この記事では、残業代が支払われないことの違法性や、残業代の仕組み、会社に対して未払いの残業代を請求するための方法をわかりやすく解説していきます。
残業代や賃金、休暇・休日などの労働に関する規制は、労働基準法という法律で細かく規定されていますが、それとは別に、会社独自の就業規則を設けて労働者を規律しています。
残業代を請求しても、会社から「うちは残業しない方針で、もし残業をしても残業代は支給しないと就業規則で決まっているから」と言われてしまうと、何も言い返すことができなくなってしまうかもしれません。
しかし、国が定めた労働基準法は絶対に遵守すべき基本ルールであり、会社独自の就業規則はあくまでも労働基準法を守ったうえで適用されるルールです。
そのため、労働基準法で定められている場合を除いて、残業代を支給しないことは違法となる可能性が高いといえるのです。
労働基準法や就業規則では、「所定労働時間」という一定の基準が定められています。
毎月決まった最低限の金額が支払われる「基本給」は、所定労働時間に対して支給されるため、この所定労働時間を超えて働いた場合、労働者は会社に対して残業代を請求することができます。
労働については幅広い形態のものが考えられ、会社のオフィスで勤務している時間だけでなく、テレワークなどについても労働時間としてカウントされます。
また、営業の仕事の移動時間など、あきらかに仕事で必要と認められる作業時間については、労働時間に含まれる可能性が高いといえます。
全ての人に同じように残業代が出るわけではなく、労働者の雇用形態によっては、労働基準法上、残業代が出なくても違法ではないケースもあります。
ここでは、残業代が支給されない雇用形態を5つ解説していきます。
裁量労働制とは、「みなし労働時間制」と呼ばれる雇用形態のひとつで、実際に働いた労働時間とは関係なく、あらかじめ会社と労働者で取り決めした労働時間分の報酬を支払う制度です。
裁量労働制の場合、決められた労働時間分働いていなかったとしても、取り決めた労働時間分は働いたとみなして報酬が支払われることになりますが、逆に取り決めた労働時間を超えて働いたとしても残業代が支払われることはないため、会社がそれを利用して不当な長時間労働を強要するケースも存在します。
労働基準法で定められている裁量労働制の形態は、大きく2つの職種に分けることができます。
これらの職種に該当する場合、裁量労働制を導入することができます。
この点、会社は残業代を抑えるために、裁量労働制を導入できる業種ではないにもかかわらず、その従業員の仕事が裁量労働制の対象業種となるように強引に部署を設けたり、会社の息がかかった従業員を労働者の代表にして都合のよい労使協定を締結したりするなど、法律に違反するような方法で裁量労働制を取り入れようとする会社もあります。
会社から裁量労働制だから残業代は出ないと説明されたとしても、実質的にみれば違法になるケースも存在するため、その判断には注意が必要です。
固定残業代とは、あらかじめ決まった残業時間分の残業代を支払うことを、雇用契約の際に結んでおく制度のことをいいます。
「みなし残業代」とも呼ばれるこの制度は、実際の残業時間があらかじめ取り決められた残業時間に満たなかったとしても、取り決めた分の残業時間は働いたとみなされるため、決められた分の残業代が支給されることになります。
当然、あらかじめ定めた固定残業時間を超えて働いた場合には、超過分の残業代を会社は支払わなくてはなりません。
会社によっては、残業代は全て給料に含まれているとして、どんなに長く残業をしても固定残業代以上の残業代を支払ってくれない会社も存在します。
もし、労働時間が増えても残業代が変わらないようであれば、違法に残業代が出ていない可能性が考えられます。
「管理職には残業代は出ない」と聞いたことがあるかもしれませんが、法律上「管理監督者」にあたる場合、会社は残業代を支払わなくても違法にはなりません。
しかし、仕事内容や権限、賃金面など、実際には管理監督者とはいえないにもかかわらず、無理やり管理職の肩書きだけつけられ、残業代を一切支払わないなどの「名ばかり管理職」を強要してくる会社も存在します。
いくら会社内で管理職の肩書きで働いていたとしても、法律上の管理監督者に該当しないのであれば会社は正規の残業代を支払う必要があり、もし支払っていないのであれば違法な行為となります。
公立学校の「教育職員」(校長、副校長、教頭、教諭、講師など)については、その職務の特殊性から残業代は支給されないことが法律で規定されています(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第3条第2項)。
これは公立の教職員の場合、毎月の給与4%にあたる「教職調整額」が支給される代わりに、時間外勤務手当と休日勤務手当が支給されないこととなっているためです。
農業・畜産・水産業など、一次産業にあたる職に従事している場合にも、残業代は支給されないことになっています。
これらの職業は、その仕事内容が天候や自然環境に大きく左右されるという職務の特殊性ゆえに、画一的に労働時間を決めて働くという働き方に合いません。そのため、労働基準法の規定が適用されないとされています(労働基準法41条1号)。
本来であれば残業代が支給されるはずの雇用形態であるにもかかわらず、会社が都合よく独自の規定を設定し、残業代が支給されない雇用形態であると説明してくる場合があります。
しかし、会社は従業員に残業をさせた場合、通常の基本給よりも割増した残業代を支給しなければいけないことが労働基準法で定められているため、会社独自の規定で残業代を支払わないようにすることはできません。
みなし残業や固定残業、裁量労働制やフレックスタイムなど、雇用形態が多様化したことで各制度の区別がつきにくくなっているからこそ、残業代が支給される雇用形態なのかどうかを慎重に判断する必要があるといえるでしょう。
残業代にかかる人件費を削減するために、会社が独自のルールを設けている場合がありますが、なかには労働基準法に違反するようなルールを設けているケースもあります。
以下のようなケースに該当するような場合には違法になる可能性がありますので、未払いの残業代がないかを確認するようにしましょう。
残業代を支払わなければいけないのは、オフィスで勤務した場合に限りません。
会社の指示により在宅勤務を行なったり、家に仕事を持ち帰って仕事をしたりしていた場合も残業代が発生します。
そのため、会社の指示にもかかわらず、家で仕事をした場合には残業代は発生しないとする会社のルールは、明らかに労働基準法に違反しているといえるでしょう。
会社によっては、まだ仕事をしているのにもかかわらず、定時になったらタイムカードを打刻させてサービス残業を強要するような悪質なケースも存在します。
残業代は、実際の労働時間に合わせて1分単位で支給する必要があります。
そのため、「システム上、一度定時にタイムカードを切る必要がある」などと、会社の都合のよい説明でタイムカードを切らせるような行為は、あきらかに違法な行為であるといえるでしょう。
法律上の管理監督者にあたらないにもかかわらず、会社都合で管理職の地位を与えて残業代を支払わない「名ばかり管理職」についても、違法であると判断される会社独自のルールのひとつです。
法律上の管理監督者にあたるかどうかは、業務内容や職務権限、会社での立ち位置や賃金面など、さまざまな状況をもとに総合的に判断されるため、自分の仕事が管理監督者にあたるかどうかわからない場合、弁護士などの専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。
会社によっては、従業員の労働管理の問題から、就業時間前の早朝残業を禁止している会社もあります。
たとえ早朝であっても残業であることに変わりはないので、会社の指示があって朝早く出勤したような場合であれば、1分単位で残業代を請求することができます。
そのほか、仕事量があまりに多く早朝に残業しないと間に合わないような場合であっても、基本的には残業代を請求できます。
その際は、早朝残業をした場合に残業代が支給されるかどうか、事前にしっかり会社に確認するようにしてください。
法律で規定されている残業時間がひと月あたり45時間までだから、それ以上働いても残業代は支給されないと規定している会社もあります。
しかし、残業時間が労働基準法に規定される時間を超過した場合に罰則が科されるのは会社側であり、労働者は会社に対して45時間を超えた分の残業代も請求することができます。
もちろん、会社が独自に残業時間の上限を設けたとしても、労働基準法に反する限りは違法な規定となりますので、実労働時間分の残業代が支払われない場合には専門家に相談するようにしてください。
会社に対して未払いの残業代を請求する場合、押さえておくべきポイントがあります。
会社との交渉を優位かつスムーズに進めるために、以下の3つのポイントを押さえるようにして下さい。
残業代が発生してから3年経過すると、時効にかかってしまい請求することができなくなってしまいます(2020年4月以前に発生した残業代については、2年で時効になります)。
せっかく残業代を請求できるだけの証拠を揃えたとしても、時効になってしまうと請求することができなくなってしまうので、請求権が消滅してしまう前に、会社に対して交渉をするようにしてください。
会社に対して残業代を請求するためには、実際に自分が働いた時間を証拠をもとにして算出する必要があります。
残業時間の証拠となるものには、以下のものがあります。
これらはあくまでも証拠の一例であり、ほかにも客観的に残業をしていた証拠があれば、それらの証拠をできる限り集めておく必要があります。
これらの証拠は、退職後の場合には会社に対して請求しづらくなるほか、証拠を隠滅・改ざんされてしまう可能性も高まります。
いざとなったときに証拠がなく、残業代を請求できなくなってしまわないように、不正に残業代が払われてないと感じた場合には、実労働時間の証拠となるものを事前に集めておくようにしてください。
もし、証拠集めに苦労してしまった場合には、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
自分で会社に証拠の開示を請求したとしても、うまく丸め込まれてしまい結局、証拠を開示してくれないことも多いでしょう。
しかし、弁護士が会社に証拠の開示を依頼することで、会社がすんなり証拠を開示してくれるケースがあります。
また、弁護士であれば裁判まで対応することができるため、個人で残業代を請求するよりも、高い金額で話がまとまることも多くあります。
未払いの残業代を請求するには、いくら残業代が発生していたのかどうかを正確に計算する必要があります。
残業代は、以下のように算出します。
あらかじめ請求する残業代を計算しておくとスムーズに交渉することができるため、証拠をもとにいくら請求できるのかを把握しておくようにしましょう。
会社に対して未払いの残業代を請求する場合、以下の3段階があることを意識して交渉を進める必要があります。
まずは、会社に対して直接残業代を請求することで、任意で残業代を払ってくれるよう交渉することからスタートします。
この時点で交渉がうまくいけば、時間もお金もかけずに問題が解決することができます。
会社との直接交渉での解決が難しい場合は、労働審判などの裁判所での手続きを検討しましょう。
労働審判とは、労働に関するトラブルを迅速に解決するために定められている制度のひとつで、審理が原則3回以内に終了する裁判所の手続きです。
労働審判では、残業代を認めるべきかどうかを、両者が提出した証拠に基づいて裁判官が判断することになります。
もし、手続きが終わったあとに結論に対して異議がある場合には訴訟に移行し、本格的に審理をおこなうことになるでしょう。
会社との直接交渉や労働審判で話し合いがまとまらない場合の最終手段として、訴訟の提起があります。
労働審判や訴訟など、裁判所を通した手続きにおいては、裁判官に認めてもらうための証拠をどれだけ提示できるかが、非常に重要なポイントとなってきます。
1人で手続きを進めるのが不安であれば、裁判に関する専門家である弁護士に対応を依頼するのがよいでしょう。
残業代に関するトラブルを抱えている場合、いったいどこに相談すればよいのかわからないまま、誰にも相談できず困っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、残業代が出ない方に向けて、おすすめの相談先を4つご紹介していきます。
残業代が出ない場合にまず、弁護士へ相談しましょう。
ほかの相談機関と違い、弁護士であれば未払いの残業代が発生しているのかどうか、複雑な残業代の計算や、会社との交渉、裁判に関する対応まで、全ての対応を一任することができます。
相談料無料や完全成功報酬型の事務所であれば、初期費用無料で弁護士からアドバイスを受けることができます。まずは、気軽に相談することをおすすめします。
総合労働相談コーナーとは、厚生労働省が実施している労働に関するトラブルの相談機関のことで、電話での相談も可能です。
専門知識を持った相談員が、親身になって相談を聞いてくれますが、あくまでも問題解決へのアドバイスをしてくれる機関になります。
そのため、弁護士のように会社と交渉するなど、直接問題を解決できるわけではないことに注意が必要です。
労働基準監督署は、各会社が労働に関する法律をしっかり遵守しているかどうかを管理・監督する行政機関です。
労働基準法に違反している行為があれば、会社に対してその行為を改善するように指導することになるでしょう。
しかし、労働基準監督署は基本的に証拠がある程度揃っていないと動いてくれませんし、弁護士のように労働者の代理人として会社と交渉してくれるわけではありません。
労働基準監督署に相談するのであれば、併せて弁護士にも相談しておくことをおすすめします。
労働条件相談ホットラインとは、未払いの残業代含む労働問題について、親身になって相談に乗ってくれたうえで、関係機関へあっせんしてくれる電話相談窓口になります。
ほかの相談機関と同じく、労働条件相談ホットラインへの電話だけでは直接的な問題の解決をすることはできないため、その後の対応は弁護士に依頼することをおすすめします。
会社は労働者に残業代を支給する義務があるため、いくら労働しても残業代が変わらない場合やそもそも残業代が支給されない場合には、労働基準法に違反している疑いがあります。
もし、会社に対し未払いの残業代を請求する場合には弁護士に対応を依頼して、できる限り多くの残業代を回収できるよう交渉を進めるべきです。
残業代の計算や残業代の証拠の集め方、会社との交渉や裁判対応など、お困りの際はまずは気軽に弁護士へ相談してみましょう。
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労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
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相談者様ご自身で保管していなくても、弁護士に依頼することで会社に開示請求を行う事ができます。
タイムカードはもちろん、PCの起動ログから残業時間を立証できた事例もございますので、証拠が手元に無くても泣き寝入りせず弁護士に相談しましょう。
確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。