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求人票を見ていると、よく給与の項目に「固定残業代40時間分込み」と記載されているのを見かけますよね。
この「固定残業代40時間分込み」について、いまいち意味が分からないという方も多いのではないでしょうか。
そもそも、40時間分の固定残業代が給与に含まれている求人に応募しても良いのか、不安になる方もいるかと思います。
この記事では、固定残業代についての基本的知識と確認するべきポイントなどを簡単に解説します。
固定残業制は実際の残業時間に関わらず、一定金額の残業代(固定残業代)を毎月支払う制度です。
固定残業制を導入している企業は意外と多く、求人探し中に見かけることもあるかと思います。
仮に「固定残業代40時間分込み」と記載があった場合、それが多いのか少ないのか気になりますよね。
この項目では、固定残業代を知るうえで重要な基礎知識を紹介します。
固定残業制を導入すること自体は、特に違法ではありません。
では、固定残業代を時間外労働(残業)40時間分として支給することに問題はないのでしょうか。
時間外労働の原則的上限が月45時間とされていることを踏まえると、特に不当とも言えなそうです。
前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。
引用元:労働基準法第36条4項
なお、固定残業代制度と直接関係するものではありませんが、会社が労働基準監督署に36協定の届出をしていない場合には、残業をさせること自体違法となります。
固定残業代が支給されていると、いくら残業しても、支払われる金額は変わらないという誤解があります。
固定残業制は、あくまで決められた範囲内で割増賃金の支払いを行ったと評価する制度です。
実際に支払うべき割増賃金が固定支給額を超える場合は、これを別途精算する必要があります。
会社から時間外労働40時間に相当する固定残業代が支給されているが、本当に40時間相当額といえるのか不安ということはありませんか?
この場合、自分の時間外労働40時間分の残業代を計算してみて、毎月の固定支給額とズレがないか、確認してみるとよいでしょう。
時間外労働に対する残業代は、以下の計算式で算出します。
残業代=1時間当たりの賃金×時間外労働時間×割増率(1.25) ※1時間当たりの賃金は、毎月の給与・手当(通勤手当など一定の手当は除外)を月平均所定労働時間で割ることで計算します。 |
例えば、毎月の給与額が16万円、月平均所定労働時間が160時間のケースでは、1時間あたりの賃金は16万円÷160時間=1,000円ということになります。
この場合に、40時間分の割増賃金額を計算すると、1,000円×1.25×40時間=50,000円となります。
したがって、上記の給与を前提とした場合、時間外労働40時間相当額の固定残業代は5万円ということになります。
上記のとおり、固定残業代は固定支給額を超える割増賃金支払義務を免除する制度ではありません。
したがって、毎月に支払われるべき割増賃金が固定支給分を超える場合は、超過分を別途支給する必要があります。
【例】月給16万円、固定残業代5万円(月平均所定労働時間=160時間)の場合で、1ヶ月に60時間の時間外労働を行ったというケース。
実残業時間を元に本来支払われるべき残業代を算出すると以下のようになります。
実残業時間から計算した残業代=1,000円×1.25×60時間 =75,000円 |
この場合、25,000円分が固定残業代を超過します。
そのため、このような場合、会社は別途25,000円の残業代の支払いをしなくてはなりません。
別途支払いが必要な残業代=75,000円―5万円 =25,000円 |
実際に支払われる割増賃金が、固定残業代でカバーされる部分を超えるような場合、当該超過分は別途精算が必要です。
もし固定残業代を超えるような割増賃金が発生しているような場合は、給料明細で追加の手当が支給されているか確認するようにしましょう。
固定残業代が適法となるのは、導入・運用が適正に行われている場合に限られます。
したがって、会社が固定残業代制度を正しく導入・運用できているかは別途チェックが必要です。
固定残業代を導入している場合には、就業規則や雇用契約書で固定残業代が割増賃金として支給されることが明記されている必要があります。
また、固定残業代がカバーする割増賃金の範囲(時間外労働、休日労働、深夜労働のいずれをカバーするのか)も明確化されていなくてはなりません。
このような規定がないとすると、そもそも固定残業代を割増賃金の支払いと認めることができない場合があります。
固定残業代が導入されている場合、通常賃金部分と固定残業代部分が明確に区別されていることも必要です。
例えば、給与明細等で基本給などの通常の賃金部分と固定残業代の部分が明示されていない場合には、割増賃金としての支払いと認められない可能性があります。
固定残業代で決められた時間を超えて働いた場合には、超過分に応じた残業代が別途支払われなくてはなりません。
このような支払いがない場合、そもそも固定残業代が割増賃金の支払いではないという評価を受ける可能性があります。
通常賃金との比較で、固定残業代の金額が大きすぎる場合も注意が必要です。
このような場合、固定残業代は非常に長時間の時間外労働等をカバーすることを想定していることになります。
しかし、労働基準法は時間外労働の上限時間を明確に定めており、例外的にこれを延長できる時間も明確にしています。
そのため、固定残業代の金額が相対的に過大で、想定される時間外労働が80時間分、100時間分など長時間となるような場合、そのような長時間労働を前提とする割増賃金は不合理であるとして、固定残業代は割増賃金の支払いではないと評価される可能性があります。
従前は違法となるケース、適法となったケースと判断が分かれることが多かったのですが、現在は概ね違法となる流れが主流です。
残業時間の上限を超える固定残業代を合法としたケース
残業時間の上限を超える固定残業代を違法としたケース
会社が固定残業制を正しく導入・運用していない場合に、採るべき対応としては以下の4つが考えられます。
それぞれ確認しておきましょう。
固定残業制が正しく導入・運用されていないということは、未払い残業代が発生している可能性が高いということです。
したがって、この場合、会社に対して残業代を支払うよう求めることができるかもしれません。
しかし、そのような請求を行うには、根拠となる証拠が必要です。
したがって、残業代請求をしたいという場合には、固定残業代が適正に導入・運用されていないことを証明する証拠を集めましょう。
具体的には、就業規則、雇用契約書、タイムカード、給与明細などの写しがこれに該当しますので、在職中にできるだけ集めておくことをおすすめします。
仮に固定残業代の導入・運用が適正ではなかったという場合は、固定残業代は残業代の支払いとは認められず、基本給の一部と評価されます。この場合、通常賃金+固定残業代を基準として賃金単価を算定し、これに実労働時間を乗じて割増賃金を計算することになります。したがって、請求すべき残業代が数百万になることも珍しくはありません(賃金単価が高いため)。
残業代の請求までは求めないが、会社に是正してほしいという場合は、会社に改善を要求することを検討して下さい。
もっとも、このような改善要求は固定残業代についての正しい理解がないと難しいと思われますので、場合によっては弁護士などの専門家に相談して下さい。
固定残業代が適正かどうか判断できないという場合、労働基準監督署や弁護士への相談を検討して下さい。
労基署は無料で相談できるため利用しやすい反面、実際に民事的な請求を行う場合のサポートしてくれません。
また、利用時間も平日の8時30分から17時30分までとかなり短いです。
弁護士に依頼した場合は、交渉から手続きまで代理で対応してくれるため、残業代請求の手間や負担が大幅に減らせます。
ただし、依頼にかかる費用が高額であるのと、信頼できる弁護士を見つけるのが大変というデメリットがあるので、どちらをとっても一長一短と言えるでしょう。
会社による是正が見込めず、これ以上就労したくないという場合は転職も検討するべきでしょう。
現在は人手不足と景気改善のおかげで、比較的転職がしやすい状況です。今より働きやすく、残業も少ない会社を見つけるのも不可能ではありません。
まずは、自分自身の市場価値を客観的に確かめるためにも、転職エージェントに登録してみるとよいでしょう。
業界事情に精通したキャリアアドバイザーから高い評価が得られるようなら、転職での待遇アップも期待できます。
仮にアドバイザーからの評価が低くても、自分自身を見つめ直すきっかけになるので損はないはずです。
固定残業代は適正に導入・運用されているのであれば、特に問題はありません。
しかし、固定残業代制度が正しく導入・運用されていないケースも往々にしてあります。
もし自分の会社の固定残業代について気になる点があれば、以下を確認してみましょう。
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特に勘違いをしやすいのが、固定残業代がカバーする範囲です。
固定残業代はあくまで支給の範囲で割増賃金支払義務を履行したものとみなすものであり、これを超過する部分は別途精算が必要です。
固定残業代制度を導入したからといって、残業がさせ放題となるわけではありません。
固定残業代制度が正しく導入・運用されていない場合、本来支払われるべき残業代が多額となることはよくあることです。
この場合は、会社に対して未払い分を請求することができます。もし請求したいという場合は、弁護士に相談しに行くとよいでしょう。
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確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
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固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。