パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
内定取消し(ないていとりけし)とは、一般的に、企業から採用可として雇用契約の締結を約束された(内定をもらった)のに、企業側からこれを一方的に取り消されることを言います。
もしも、内定者がその企業に入社することが決まったことを理由に他の企業からのお誘いを全て断ってしまったような場合、突然の内定取消しは絶望的なものといって良いでしょう。
特にこの時期、新型コロナウィルスによる業績不振や、今後の新卒採用の縮小傾向がじわじわと広がりつつあります。
就職情報サイトのマイナビは、2月13日から3月6日にかけて調査を行い、国内の1060社が回答しました。
新卒採用スケジュールを聞いた質問では、2月中に回答した企業(764社)と、新型コロナウイルスの影響が一段と広がった3月に回答した企業(296社)で傾向を分けて分析しています。
もし不当な取り消しであった場合、内定者は何もできないかというとそんなことはありません。
仮に不当な理由により内定を取り消されたような場合、法的な主張をすることで雇用上の地位を確保したり、内定取消しにより生じた損害を賠償してもらうことが可能です。この点について十分な知識を有していれば、泣き寝入りを防ぐことも可能かもしれません。
この記事では、内定取消しにあった際に、あなたが全力で抗う方法をお伝えします。
冒頭でもお伝えしましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、新卒採用市場への影響は甚大なものになっています。
ニュースになっているのは恐らくほんの一部かと思いますが、4月からの入社を目指していた新卒学生や、中途入社が決まっていた方からしてみれば、この状況はやりせない状況かもしれません。
厚生労働省は31日、新型コロナウイルス感染症の影響で、解雇や雇い止めされる人が1021人に及ぶとの見通しを公表
引用元:jiji.com|新型コロナ影響、解雇1000人超 内定取り消し58人―雇用環境に厳しさ・3月末
3月31日、厚生労働省が発表した内定取り消し件数について、新聞やテレビなどが大々的に報道した。これによると、新型コロナウイルスの影響で、この春に高校や大学などを卒業する学生の内定取り消し数は、31日現在で23社、58人にのぼるという。
引用元:新型コロナウイルス関連 HR情報新型コロナウイルスの影響で新卒「内定取消」も、「救済採用」に乗り出す企業が続々 | 人事のプロを支援する | HRプロ
新卒採用といえば、毎年大規模から中規模まで様々な箇所で開催される『合同説明会』や『就職イベント』。しかしこちらも、自粛要請と緊急事態宣言により軒並み中止が決定しています。
『リクナビ2021』合同企業説明会、5月31日まで中止期間を延長
株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:佐藤 学)は、新型コロナウイルス感染症の収束の兆しが見えない現状に鑑みて、就職情報サイト『リクナビ2021』の合同企業説明会の中止期間を延長いたします。当初は2020年3月1日から4月30日までとしていましたが、同5月31日までの合同企業説明会をすべて中止いたします。
『マイナビ2021主催イベント』5月31日(日)までの開催方針について
【開催中止のご案内】※2020年4月13日更新
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、5月31日(日)までに開催する新卒学生向け合同企業説明会を【中止】することとなりました。
イベントへのご参加を予定されていた学生・企業の皆さまには、ご迷惑をおかけいたしますが、安全面を配慮した上での決定となりますので、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
引用元:『マイナビ2021主催イベント』開催方針について | マイナビ2021 - 学生向けインターンシップ・就職情報サイト
新型コロナウイルスの影響による 2020年4月、5月開催「doda転職フェア セレクト」と 6月、7月開催「doda転職フェア」中止のお知らせ
2020年03月31日(火)
総合人材サービス、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:峯尾 太郎)は、国内の新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、感染拡大抑止の観点から、2020年4月と5月に開催を予定していた「doda転職フェア セレクト」と、6月と7月に開催を予定していた「doda転職フェア」の中止を決定いたしました。なお、6月以降の「doda転職フェア セレクト」の開催につきましては、事態の状況を見極め判断いたします。
引用元:新型コロナウイルスの影響による 2020年4月、5月開催「doda転職フェア セレクト」と 6月、7月開催「doda転職フェア」中止のお知らせ |転職ならdoda(デューダ)
ANA、コロナで人件費にメス 内定者8割弱を採用中止
新型コロナウイルスの影響で全日本空輸(ANA)が大幅な人件費削減の提案に踏み切った。冬のみであっても一時金(ボーナス)をゼロにする提案は初めて。基本給の引き下げも17年ぶりとなる。ANAはさらにコスト削減を進める方針で、定期路線の見直しも検討している。
ANAを傘下に持つANAホールディングス(HD)は、今年4~6月期決算で営業損益が1590億円の赤字、純損益が1088億円の赤字だった。いずれも四半期の赤字幅として過去最大だった。通期の業績見通しはまだ示せておらず、赤字幅がさらにふくらむ可能性は高い。
〜〜中略〜〜
だが6月までに多額の借り入れをした以上、さらに数千億円規模を手当てするには、金融機関に追加のコスト削減策を示すことが避けられない。そのため今回、固定費として大きく負担になっている人件費にメスを入れようとした形だ。来春入社を予定していた大学生などの8割弱の採用中止にも踏み込んだ。
採用の内定取消しについては、最高裁の判例があります。
具体的には大日本印刷採用内定取消事件(昭和54年7月20日判決)という判例で、
「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的に認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」
と判示されています。したがって、このような理由に拠らない内定取消しは違法・無効ということになります。
裁判年月日 昭和54年 7月20日 裁判所名 最高裁第二小法廷 裁判区分 判決 事件番号 昭52(オ)94号 事件名 大日本印刷採用内定取消事件 Westlaw Japan文献番号 1979WLJPCA07200002 |
つまり、
などといった抽象的・主観的な理由は基本的には正当な理由となりません。また、
相当程度合理的な理由であっても、これが採用内定時にも容易に予測し得るような場合であれば、やはり正当な理由ではないと評価される可能性は十分にあります。
他方、以下のような理由(事由)がある場合は、内定取り消しが適切と判断される可能性が高いと考えられています。
(1) |
内定後の事情から、内定者を雇い入れると人件費が経営を圧迫して行き詰まることが明らかであり、既存の社員の解雇を回避するためには、内定取消しがやむを得ない場合 |
(2) |
内定者が、内定後に病気や怪我をしたことによって正常な勤務ができなくなった場合 |
(3) |
内定後の調査により、内定者が申告していた経歴や学歴の重要部分に虚偽があったことが判明した場合 |
(4) |
内定者が、大学を卒業できなかった場合 |
上記のとおり、内定後の予測の範囲を超える経営悪化は内定取消しの理由たり得ます。
もっとも、このような正当な理由がある場合であっても内定者に対して十分な期間を持って説明を行うなどの配慮は必要と考えられており、例えばまた、入社日の2週間前になり突然、経営悪化を理由に突然内定を取り消す行為は内定者への配慮を欠くものとして損害賠償の対象となる可能性があります。
詳しくは「内定取消しが争われたケース」をごらんください。
企業が採用内定を通知してから、実際に働き始める前に、これを取り消す「内定取消し」は、会社から一方的に関係を破棄されるという意味においては「解雇」と同様です。
労働者側は、内定が出ればその企業に入ることを前提に求職活動を中止したり前職を退職するなどの準備を行うため、突然の内定取消しは労働者の人生プランを破壊する行為と言えます。
内定をもらっただけでは、会社側と雇用契約が結ばれていないと考えている方がほとんどでしょう。しかし、実は企業が求職者に対して内定を出した時点で、雇用契約が成立したものと考えられます。
法的に具体的にいうと、求職者が応募することが「雇用契約の申し込み」に該当し、それに対して内定を出すということは、この申込に対して承諾したものと評価されます。
※もっとも、通常の雇用契約と同じではなく、始期付解約権留保付の雇用契約と考えられています。
したがって、会社が一方的な内定取消しをする行為は、法的にも「雇用契約の解約=解雇」になる訳です。
企業によっては、内定前に「内々定」が行われることがあります。
内々定の方式はケースバイケースでしょうが、例えば採用担当者から「採用はほぼ決まりである」とか「採用するので追って正式通知を送る」等の連絡や通知を受けた場合がこれに該当すると思われます。
このような内々定は、雇用契約締結を承諾する旨の意思表示(すなわち内定の意思表示)とは評価されない場合が多いといわれています。
法律的には、内定はあくまで正式に内定手続きを行った場合を意味し、その準備段階や前段階では雇用契約締結のための承諾行為は行われていないという考え方が一般的です。したがって、採用担当者から内々定を得たものの、正式内定は未了という段階では労働契約が成立しているとは考えにくいでしょう。
そうなると、「内々定」の取消し通知は、労働契約そのものの解除ではないことになりますので、解雇ではないことなり、この効力を争って雇用上の地位を主張するということは難しいかもしれません。もっとも、内々定を得た労働者が一切保護されないということはなく、雇用契約締結への合理的期待が不当に侵害されたと認められる場合は、別途慰謝料請求等が可能です。
まとめると、
実際に内定取消しが裁判で争われたケースをご紹介します。
他会社からスカウトを受け内定を受けたのちに、スカウトを行った会社の業績悪化を理由に内定取り消しを受けた事件です。判決として、内定取り消しの無効と、1年分の賃金仮払いの仮処分を受けました。
参考:「インフォミックス事件|公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会」
新卒労働者は在籍大学の推薦を受けて求人募集に応じ、筆記試験と適性検査を受け採用内定の通知を受けるが、新卒労働者の在籍大学が求人募集に対する学生の推薦に関し、「二社制限、先決優先主義」を徹底していた為、新卒労働者は内定通知を受けた後、大学の推薦で応募していた他社への応募を辞退した。
しかし、入社予定日の約2ヵ月前に突然、採用内定取消しの通知があり、理由も示されていなかった。取消し通知のあった時期が遅かったため他の企業への就職が事実上不可能となり、就職することもなく大学を卒業するに至る。
そこで、採用内定取消しは合理的理由を欠き無効である等主張して、従業員としての地位確認等の訴えを提起。
参考:「裁判所」
企業側の採用内定取消しは無効とされた。
採用内定により、労働者が働くのは大学卒業直後とし、それまでの間に企業と学生が取り交わした誓約書に記載されている採用内定取消し事由があれば会社が解約することができることを約した労働契約が成立したと認められた事例です。
被告から、当時の勤務先の退職日翌日から就業を開始する旨の採用内定が出されたことから、原被告間では、同日を就業開始日とする解約留保権付労働契約が成立したと主張する原告が、被告は合理的かつ相当な理由を示すことなく一方的に採用内定を取り消したなどとして、損害賠償を求めた事案。
被告の代表者が、具体的に確定した雇用条件で原告を採用する旨の意思表示をした時点をもって、本件労働契約が成立したと認められるところ、被告は、本件労働契約が成立しているにもかかわらず、原告に対し、原告の就業開始日翌日に、突然、採用を取り消す旨の意思表示をし、また、その点につき何ら合理性のある理由を説明していないから、違法な採用内定の取消しを行ったというべきであるとして、132万7,800円の支払いが命じられた。
裁判年月日 平成24年 7月30日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平23(ワ)38272号 事件名 World LSK事件 裁判結果 一部認容、一部棄却 Westlaw Japan文献番号 2012WLJPCA07308001 |
【事件名】コーセーアールイー事件
控訴人から採用の内々定を得ていた被控訴人が、内定通知書授与日の直前に内々定の取消しを受けたことについて損害賠償を請求した事例。
判決:被告は,原告に対し,110万円及びこれに対する平成20年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
裁判年月日 平成23年 3月10日 裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決 事件番号 平22(ネ)664号 ・ 平22(ネ)883号 事件名 損害賠償請求控訴事件、同付帯控訴事件〔内々定取り消し訴訟・控訴審〕 裁判結果 原判決変更、附帯控訴棄却 上訴等 確定 Westlaw Japan文献番号 2011WLJPCA03106001 |
求職者には以外と知られていませんが、新規学校卒業者、いわゆる「新卒者」には、厚生労働省から、「新規学校卒業者の採用内定取消し・入職時期繰下げ等への対応について」という政策があり、ある程度の保護施策が実施されていますので、参考にしていいただければと思います。
上記のサポート等を実施しています。
内定取消をされた学生に対する全国の募集企業の情報提供 |
・事業主は、募集人数の決定にあたり、「若干名」「◯◯人以内」等の不明確な表現、実際の採用人数を超えた募集等は避け、採用人数を明確にするよう努める。
就職が決まっていて、その企業に入ることを前提に準備を進める求職者に対して、突然「やっぱり来なくていいです」はキツすぎます。就職率の低さが嘆かれる今の就労状況において、一旦働いていない『空白の期間』ができることははっきり言って致命的と言えます。
では、内定取消をされた場合に、どのような行動をとればいいのでしょうか?
「大日本印刷事件:新卒採用の内定取消し」の例が参考になりますが、入社直前に言われても事実他社への就職が困難な場合、「従業員としての地位」を訴える訴訟を起こすことができます。
認められれば望む企業の従業員として働くことができる可能性があります。しかし、一旦内定を取り消された企業で働きたいかどうかは、個人の判断になります。
その企業には入りたくないが、せめて何かしらの形で再就職までの保障が欲しい場合、内定取消しに対する損害賠償請求です。
内定により雇用契約が成立していた場合は固より、内定前でも内々定通知書や具体的な労働条件の提示があるなどにより、雇用契約締結に合理的な期待が生じていたといえる場合は、認められる可能性があります。
もし、企業が採用内定取消しを撤回しない場合には、労働審判や裁判をして、従業員としての地位のあることの確認しつつ、就労予定日以降の未払賃金の請求をすることができます。
例えば、4月に入社予定だったとして、内定を違法な理由で取り消され、労働審判を6月に行ったとした場合、4~6月までの給与を請求します。その場合、内定により雇用契約が成立していることの証拠を集めることが必要です(内定通知書や採用担当者とのやり取りのメール等)。
具体的な手続きは、本人が行うことも可能ですが、専門性が高い手続きとなるため、本当に労働審判を起こす場合は、弁護士に依頼した方が精神的負担も軽くなりますし、正当な補償を獲得できると思います。
何より、企業によっては顧問弁護士がいるケースがほとんどですので、弁護士に対抗するには弁護士を雇うなどをしないと、勝てる裁判も勝てなくなる可能性があります。
ここからはあなた自身の考え方によるところが大きいのですが、仮に内定取消しが無効と判断され、その会社で仕事ができるとしても、コンプライアンスを疎かにしている企業では、辛い労働環境の下に置かれるリスクがあります。
また、入社してからがっかりするより、早めに分かってむしろよかったと開き直ることも一つ考え方です。
幸い、厚生労働省やハローワークが連携して最低限のフォローをしてくれているので、可能な限り足を運んでみるのも良いかと思います。
もし、内定取消しがわかって日が浅いのであれば、すぐに弁護士に相談されることをおすすめします。
専門家の意見を聞くことで、諦めていた企業への入社が可能になる可能性もありますし、入れなかったとしても、今後の人生において、会社側に対してどのような手段をとっていくべきか、今後の道筋が見えるはずです。
新卒採用は人生で一度しかない貴重な機会です。
それを一企業のせいで台無しにしないように、自分の望む、後悔のない選択をしていただければ幸いです。
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不法な解雇により労働者に不利益が生じた場合、労働者は企業相手に慰謝料請求を行うことが出来ます。
その際請求が出来るのは、解雇されたことにより受け取れなかった期待賃金になります。
ただし、解雇の不当性は弁護士を通じて正しく立証する必要があります。
不当解雇を防ぐために自己都合退職を迫る、「退職勧奨」の手口です。
会社から退職を勧められたとしても、それに従う必要はありません。今の会社に残りたいと考えるならば、拒み続けても問題ありませんので、安易に退職届にサインをするのは控えましょう。
それでもパワハラなどを絡めて退職を強要してきた場合には、損害賠償を請求できる可能性が生じますので弁護士に相談するのも一つの手です。
リストラ(整理解雇)を行うためには、選定の合理的理由や、解雇回避努力の履行など、企業側が満たすべき要件が複数あります。
上層部の私情によるものや、勤務態度や成績に依存しないリストラは認められないと定められています。
就業規則に明記されていない限り、会社が何らかの事由によって懲戒解雇処分を通知することは出来ません。まずは会社の就業規則を確認しましょう。
また、重大な犯罪行為や重大な経歴詐称など、著しく重要な問題に抵触しない限り懲戒解雇を受けることはありません。
会社の裁量基準に納得がいかず、撤回を求めたい方は早急に弁護士に相談しましょう。
前提として、企業は求職者を採用する際に長期契約を念頭において雇用契約を結ぶため、試用期間を設けられたとしても「向いてなさそうだから…」や「なんか気にくわない…」という理由で一方的に解雇することは出来ません。
もし解雇に妥当性がないと言い張る場合は、解雇の撤回を要求するか、解雇されなかった場合に受け取れるであろう期待未払い賃金の請求が可能です。