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外資系企業の退職勧奨(リストラ)におけるパッケージ相場と金額を最大化する方法

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
外資系企業の退職勧奨(リストラ)におけるパッケージ相場と金額を最大化する方法

外資系企業では、日本企業以上に「退職勧奨」が行われる機会が多いようです。日系企業は伝統的に『終身雇用』として定年まで安定雇用される風土が一般的ですが、外資系企業はこのような風土がなく、人の出入りが激しいのが一般的です。

外資系企業は実力主義の側面が強く、一定の業績が挙げられない労働者に対しては「退職勧奨」等が行われ、退職に至るということもよくあります。このような退職勧奨の際には、パッケージとして一定の特別退職金の提示があることもよくあることです。

このような退職勧奨は、相手の自由意志を制圧するような態様に至らない限り、適法であり、会社には法的責任は生じません。しかし、相手の自由意志を制圧するような退職勧奨は、もはや退職強要であり違法行為となる可能性があります。

そこで本記事では、以下のようなトピックについて簡単に解説します。

  • 外資系企業のパッケージ相場
  • パッケージの交渉について

退職勧奨に対抗するために何ができるのかを解説します。

外資系企業のパッケージ金額に納得がいかない方へ

退職勧奨を受けているけど、提示されたパッケージの金額に納得がいかず悩んでいませんか?


結論からいうと、労働者側が粘り強く交渉することでパッケージが一定程度増額されることはあり得ます。


もし、パッケージの金額に納得がいかず、増額を目指したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします


弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 退職勧奨に違法性がないか判断してもらえる
  • 依頼すれば、パッケージの増額交渉を一任できる
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外資系企業の退職勧奨でよく聞く「パッケージ」とは

そもそも外資系企業でよくある「パッケージ」とは、労働者側に任意の退職を促すために支払うお金(特別退職金)のことです。

企業による解雇は、たとえ外資系企業であっても日本の法令に基づいて行われなければなりません。そのため、企業による解雇に十分な理由がなければ、たとえ外資系企業であっても解雇の有効性が否定され、企業は一定の法的責任を負うことになります。

そのため、企業としては、労働者が自主的に退職してくれる方が低リスクと考えるのが一般的であり、パッケージは自主退職を促進するため(法的トラブルとなるリスクを回避するため)の経済的補填の意味が強いといえます。

なお、パッケージはあくまで自主退職を促すためのオプションの一つに過ぎず、企業側で提示する義務があるわけではないですし、提示すべき金額についてもルールはありません

企業側はパッケージを提示しないこともできますし、労働者が要求すれば金額が上がるというものでもありません。この点、退職パッケージは当然もらえるものであるとか、労働者が求めれば増額されるものという誤解をしている方が少なくないようですが、パッケージを支払うかどうか、支払うとして金額をどうするかはあくまで企業側が決めるものであり、労働者がこれをコントロールする術はありませんので留意してください。

パッケージ(特別退職金手当)の相場

パッケージの性質は上記のとおりなので、そもそもパッケージが提示されるのか、提示されるとしていくらとなるのかについて決まったルールはなく、特定の相場もありません

一般的には3~12ヶ月の範囲内で提示されることが多いようですが、あくまでケースバイケースです。状況に応じて「給与の〇か月分」という形で提示されるケースや、元証券会社の方が言うには「勤続年数が1年増える毎に1ヶ月分積み増す」というパターンもあるようです。

パッケージ金額に影響を及ぼす可能性のある要素

一般的には、給与額、役職、勤続年数、業績・貢献等の労働者側事情と経営状況、退職を求める理由、カルチャー等の会社側事情を総合的に考慮して提示されることが多いのではないでしょうか。

これまで受け取っていた給与額

パッケージは従来の給与の「〇か月分」という形で計算されるので、給与額の高かった人は高額に。

従業員の役職

役職が高かった場合、考慮されてパッケージが上がる可能性があります。

従業員によるこれまでの貢献度、パフォーマンス

これまで会社へ貢献してきた従業員、パフォーマンスの高かった従業員に関しては増額交渉ができる可能性があります。

業種

適正な金額を受け取るには、自社の業種の平均値などを把握しておくべきといえるでしょう。

会社の経営状態

経営状態が良ければ高額なパッケージを請求しやすくなりますが、業績不振でやむなくリストラされる場合などには多くを望めない可能性があります。

会社の財務状況

財務状況が良ければ高額なパッケージを請求しやすくなりますが、悪ければ多くは望めない可能性があります。

勤続年数

勤続年数が長い従業員の方が会社への貢献度が高くなるので、パッケージの金額が上がりやすい傾向にあります。

会社の慣行

会社から慣行的にパッケージを出しており、通例で金額感に一定の用件があれば、少ない場合は増額交渉できる可能性があります。これまでの例などを調べてみると良いでしょう。

交渉(ネゴシエーション)

最終的なパッケージの金額は、労働者側と会社側の交渉によって決まります。

パッケージ金額を決める際に重要なのは交渉

パッケージについて決まったルールがないということは、交渉次第で金額が変動し得るということです。

企業側で任意退職により進めるメリットとパッケージを支払うことのデメリットを天秤にかけた結果、前者が勝る場合ようでれば、パッケージの増額も前向きに検討するはずです。

もちろん、最終的な決定者が企業であるため、労働者側での交渉力には限界がありますが、労働者側が粘り強く交渉することでパッケージが一定程度増額されることはあり得ます

パッケージ金額に納得がいかない場合

会社側から退職勧奨をされパッケージの提示を受けたものの、到底納得いかない場合、どうすればよいでしょうか。

先月に退職勧奨、退職強要を受けてしまいました。労基にも相談したんですが、結局会社側からパッケージを提案され、なくなく呑んで、しまいました、、。自分自身、情けないと感じていますがめげずに再就職活動中です(;´д`)

引用元:Twitter

その4。まぁ、辞めてもいっか、と思った場合でも、退職パッケージが自分に適用になるか確認の上で退職勧奨に応じましょう。まれに、退職パッケージ適用外なのに、うっかり退職の意思表示しちゃう例があります。うっかりは禁物。慎重に。

引用元:Twitter

退職の意思は無いにもかかわらず退職勧奨を受け入れる方々や、パッケージが支払われないという方もいますが、退職勧奨はあくまで任意の退職を促すものであり、これを受諾するか拒否するかの決定権は労働者にあります。

会社の提示するパッケージが低すぎて納得できないのであれば、退職勧奨を拒否すれば足ります。なお、「退職を考えなくもないが、その金額では受けられない」と退職意思が皆無でないことを示しつつ交渉することで、パッケージが増額されることはあり得ます

退職勧奨を拒否したにもかかわらず、執拗に同条件での退職を求めることを繰り返すことは、相手の自由意思を制圧するものとして違法となる可能性があります。そのような場合は、弁護士に相談することも積極的に検討してください。

パッケージ訴訟を弁護士に相談するのは有効か?

会社から退職勧奨をされたものの、パッケージが低すぎるという場合、弁護士に相談しても力になれる場合となれない場合があります。

そもそもパッケージを提示するかどうか、提示するとしてその金額をどうするかは、企業側に絶対的な決定権がありますので、弁護士が介入したから直ちにパッケージが増額されるということはありません。

仮に弁護士が介入して「パッケージを上げろ」と求めても、その主張に法的根拠がない以上、パッケージが増額される保証はないのです。

もっとも、労使間の退職勧奨が退職強要と評価される違法なものであるとか、労働者が退職勧奨を拒否したところハラスメントを受けるようになったとか、退職勧奨に先立って労働者に異動、降格、懲戒等の人事処分がされているという場合、これらをテコにしてパッケージ交渉を行うことはあり得ます。

いずれにせよケースバイケースの交渉となるので、弁護士に相談して有益な解決方法があるか模索してもらうのもあり得る対応かもしれません。

これらを踏まえ、「退職強要と評価される違法なもの」と判断される場合、弁護士に相談することで以下のようなメリットが考えられるでしょう。

交渉を任せることができる

相手は外資系の企業であり、交渉にも慣れている可能性はあります。もちろん顧問弁護士もいるでしょうし企業内弁護士がいる企業も多いでしょう。

個人の労働者と外資系企業が交渉をしても、労働者側が不利になるのは目に見えています。まずは弁護士に依頼することにより、立場を対等に近づける必要があります。

パッケージの増額交渉がやりやすい

自分一人で交渉するより弁護士に依頼した方が交渉を有利に進められます。

会社からは1か月分の給与しか提示されなかったけれども弁護士に依頼したら1年分に上がった、というケースもゼロではありません(もっとも、増額にたる根拠があればの話です)。

もちろん弁護士報酬を払っても多くの利益が手元に残ります。有利の交渉を進めてなるべく多額のパッケージを手にするには依頼を検討しましょう。

転職活動に専念できる

退職を受け入れることに決めたら、転職活動を行いたい方もおられるでしょう。しかし会社と交渉しながら転職活動を進めるのは大変です。

特に外資系金融機関に勤めている方は、金融取引商品の情報管理という観点から、同業種に転職する際は3ヶ月以上の『競業避止義務規定』が言い渡されるケースが多いようです。

外資金融業界のキャリアの積み上げとして、同業種での転職を繰り返しながらステップアップしていくモデルですが、パッケージ額が少ないと退職勧奨をされてもすぐに動けないという事態が発生します。

弁護士に交渉を任せることで、転職活動に割ける時間ができますので、その間に転職活動を進めることも可能です。

まとめ

企業による退職勧奨に伴うパッケージについて簡単に解説しました。参考となれば幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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一方的にリストラを通知され、明日から来なくていいと言われましたが、リストラだからと言って急に辞めされることは合法なのでしょうか。

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懲戒解雇を言い渡されましたが、納得がいきません。懲戒解雇が妥当になるのはどのような場合でしょうか。

就業規則に明記されていない限り、会社が何らかの事由によって懲戒解雇処分を通知することは出来ません。まずは会社の就業規則を確認しましょう。
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試用期間中に解雇を言い渡されましたが、違法性を主張することは出来ますか。

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