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みなし残業によって、労働時間が長くなってしまうという方もいるのではないでしょうか? みなし残業などの残業時間は、労働基準法でいくつかの上限が設けられています。
会社が労働者に残業させるために結ぶ『36協定』では残業の上限時間は月45時間までとされています。一方、会社によってはみなし労働時間が50時間と定められていることもあります。
月45時間以上のみなし残業を労働条件として設定するのは違法ではないのでしょうか。この記事では、みなし残業の上限時間や36協定についてご紹介します。
みなし残業とは、一定時間の残業があることを見越して、あらかじめ『固定残業代』などを支払うことで労働者にその時間分だけ残業してもらうことができるというものです。
ただし、残業代を支払っているからといって労働者を何時間でも残業させてよいというわけではありませんよ。
この項目では残業の上限時間についてご紹介します。
みなし残業が設定されている場合、残業はみなし労働時間内に抑えるのが原則です。
もしも、『みなし45時間』と設定されているのに、多忙により50時間残業をさせた場合、会社は5時間分の残業代を労働者に追加支給しなければなりません。
冒頭でもお伝えしましたが、36協定に基づく残業(時間外労働)の上限は1ヶ月に最大45時間とされています。
ただし、一定の条件を満たすことでこの上限を延長することもできます。みなし残業が45時間以上に設定されていることは違法ではありませんが、残業時間の上限延長は本来、常時的なものではないので注意が必要です。
残業などの時間外労働は36協定を結ぶ必要があり、36協定では時間外労働に上限が定められています。
一方で、臨時的な業務量の増加や繁忙期など、業務上のやむを得ない事情により労働時間を延長しなければならない業種もあります。そのため、36協定に特別条項を付帯させることでこの上限を臨時的に延長することもできます。
この項目では、36協定と特別条項についてご紹介します。
会社が労働者に残業などの時間外労働を課す場合は、36協定を結ぶ必要があります。
36協定で定められた残業時間の上限は下記のとおりです。
一般的な労働制度 | |
期間 | 上限時間 |
1週間 | 15時間 |
1ヶ月 | 45時間 |
1年間 | 360時間 |
変形時間労働制 | |
期間 | 上限時間 |
1週間 | 14時間 |
1ヶ月 | 42時間 |
1年間 | 320時間 |
そのため、みなし残業が45時間の場合は、36協定の時間外労働の上限の範囲内であるといえます。
業種によっては、一時的に36協定の上限時間を超えてしまうことも考えられます。その場合、特別条項を付帯させることで上限時間の延長が可能になります。
この特別条項ですが、現時点では何時間延長しても規制などはありません。ただし、特別条項を発動できるのはあくまで臨時的措置としてなので、日常的に長時間労働を行なっている場合は会社側が『健康被害防止措置』を怠っているとして責任が問われる可能性はあります。
特別条項を発動して残業の上限時間を延長できるのは『特別な事情』があるときのみです。あくまで臨時的なものなので、発動は以下のような場合に限られます。
この項目では、みなし残業などの契約で働いている方が気をつけたい労働問題についてご紹介します。
みなし残業で45時間などの月残業時間を設定されている場合、残業を断ったら解雇されるのでしょうか?
残業は業務命令なので、賃金が支払われている場合は原則従わなければなりません。ただし、『体調不良により業務に耐えられない』などの理由で断ることは可能です。
また、みなし残業であっても1回残業を断ったことで解雇されることはまずないでしょう。
みなし残業の場合、設定されていた残業時間を超えて労働したら、会社はその分の残業代を支払わなければなりません。
もし、みなし残業分を超えた労働をした場合は残業代請求なども検討しましょう。
サービス残業など労働賃金が支払われていない場合は、残業を拒否することができます。
賃金が支払われていないことと残業の業務命令の必要性などを会社と話し合い、サービス残業の解消に向けて行動しましょう。
みなし残業が多くて悩んでいる場合は労働条件が法律に則しているか、労働時間を減らすことができないかなど相談してみましょう。
労働条件が法律に則しているか、解決方法はないかなどは『労働条件相談ほっとライン』に相談することをおすすめします。
労働条件相談ほっとライン |
|
参考: 厚生労働省|確かめよう労働条件
この相談窓口では、就業規則や労働条件についての個別相談や、解決方法の提案などの相談に乗ってくれます。
長時間労働が社内で常態化している場合は、社内のコンプライアンス窓口などに相談するのも1つの方法です。
社内での解決を図ることで、問題の根本的解消が期待できます。
社内での解決が難しい場合は、労働基準監督署にある『総合労働相談コーナー』に行き、相談することもできます。
労働基準監督署の相談コーナーは予約不要、相談料無料で利用することができます。
みなし残業は、労働時間が長くなりやすい制度でもあるため、長時間労働に悩まされる労働者も多いと思います。
ただし、みなし残業は固定残業代を支払っているからといって労働者を上限なく働かせることができるわけではありません。働き方を会社任せにせず、労働者自身が正しい知識を身につけて健康的に働きたいですよね。
この記事で、みなし残業の上限に関する疑問が解消されれば幸いです。
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確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。